『VIVANT』を語るうえで、最後まで気になる存在だったのがノコルです。
乃木憂助にとってノコルは、テントのナンバー2であり、父・ベキの息子。
しかし同時に、血のつながった弟ではありません。
ベキに育てられ、長年テントを支えてきたノコルと、突然現れた実の息子・乃木。
この2人の関係には、単純な「敵と味方」では片づけられない感情が存在しています。
では、ノコルは本当に乃木の敵だったのでしょうか。
そして、ベキがいなくなった後、ノコルはテントをどうするのでしょうか。
今回は、ノコルの行動や乃木との関係を振り返りながら、今後の2人の行方を考察します。
ノコルは最初から乃木を敵視していた?
ノコルが乃木と初めて対面したとき、2人の間には明らかな緊張感がありました。
乃木は別班としてテントを追っていた人物。
一方のノコルは、ベキの側近としてテントを支える立場です。
当然、組織の論理で考えれば2人は敵同士。
しかし、ノコルの感情はそれだけでは説明できません。
なぜなら、乃木は「ベキの実の息子」だったからです。
ノコルにとってベキは、単なる組織のリーダーではありません。
幼いころから自分を育ててくれた父親です。
その父親の前に、突然「本当の息子」が現れた。
しかも乃木は、ベキが長年探し続けていた実の息子。
ノコルからすれば、乃木は自分が築いてきた家族の中に突然入ってきた存在でもあります。
だからこそ、乃木に対する警戒心には、組織を守るためだけではなく、「父を奪われるかもしれない」という感情があったのではないでしょうか。
ノコルは乃木に嫉妬していた?
ここはノコルを考察するうえで非常に重要なポイントです。
ノコルはベキから愛情を受けて育っています。
テントのナンバー2にまで上り詰め、ベキから大きな信頼を得ていました。
ところが、そこに乃木が現れます。
血のつながった実の息子。
しかも、ベキが長年心の中で追い続けていた存在です。
これはノコルにとって、かなり複雑な状況だったはずです。
「自分は父にとって何なのか」
そんな不安が生まれても不思議ではありません。
実際、ノコルは乃木を簡単には受け入れませんでした。
しかし、それを単純な嫉妬と考えるのも少し違います。
ノコルはベキを愛していたからこそ、乃木を警戒した。
つまり、乃木への敵意の根底には、ベキへの愛情があったと考えることができます。
それでもノコルは乃木を「兄さん」と認めた
物語が進むにつれて、2人の関係は少しずつ変化していきます。
最初は「テントの幹部と別班員」。
そこから「ベキの息子同士」という関係へ変わっていきました。
そして最終的には、ノコルが乃木を「兄さん」と呼ぶ場面が大きな意味を持ちます。
これは単なる呼び方の変化ではありません。
ノコルが乃木を、ベキの実子としてだけではなく、自分の兄として受け入れた瞬間とも考えられます。
血のつながりはありません。
しかし、同じ父親に育てられた2人。
しかもベキという人物を誰よりも深く理解しているという共通点があります。
この2人は、血ではなく「家族」という形で結ばれたのです。
乃木はノコルにとって敵ではなくなった?
私は、最終的なノコルは「乃木の敵」ではないと考えます。
ただし、完全な味方とも言い切れません。
ここが『VIVANT』らしいところです。
乃木は別班の人間。
ノコルはテント側の人間。
立場だけを考えれば、2人が完全に同じ側になることは難しいでしょう。
しかし、2人には共通して守りたいものがあります。
それが、ベキが残したものです。
ベキがテントを作った理由は、単純なテロ活動ではありませんでした。
孤児や戦争によって苦しむ人々を救うこと。
そして、最終的にはフローライトという地下資源を利用し、テロに頼らなくても人々を支えられる仕組みを作ろうとしていました。(FILMAGA)
乃木もその本質を理解したからこそ、テントに潜入しながら単純に壊滅させるのではなく、ベキたちの計画に協力しました。
つまり乃木とノコルは、敵対する立場にいながら、守ろうとしているものは近かったのです。
ベキ亡き後、ノコルはテントをどうする?
ここが今後の最大のポイントです。
ベキという絶対的なリーダーを失ったテントが、そのまま以前のような組織として存続するとは考えにくいでしょう。
そもそもベキが目指していたのは、テロそのものではありませんでした。
だからこそ、ノコルがベキの後継者になったとしても、同じ方法を繰り返すとは限りません。
むしろ考えられるのは、
「テントを終わらせ、ベキが残したものを守る」
という道です。
ノコルには、孤児院やバルカの人々、そしてベキが築いてきた人間関係があります。
彼が守るべきものは、すでにテントという組織そのものではなくなっているのではないでしょうか。
ノコルがベキの「思想」を受け継ぐ可能性
ノコルが受け継ぐべきなのは、テントという組織ではありません。
ベキが最後まで守ろうとした「人を救う」という思想です。
ここに乃木との接点があります。
乃木は日本を守る別班。
ノコルはバルカの人々を守る存在。
目的は完全に同じではありません。
しかし、どちらも「誰かを守るために動く」という部分では共通しています。
もし続編が描かれるのであれば、乃木とノコルは敵対するよりも、それぞれの立場から同じ目的に向かって動く関係になる可能性があります。
乃木とノコルは「兄弟」だからこそ対立する?
ただし、2人がずっと仲良く協力するとも考えにくいです。
むしろ今後の面白さは、兄弟だからこそ対立することにあるでしょう。
乃木には別班としての使命があります。
ノコルにはベキから託されたものがあります。
もしノコルがベキの遺志を守るために、乃木の任務と衝突することになれば、2人は再び敵になるかもしれません。
しかし、その敵対は以前とは違います。
以前は、
「別班VSテント」
でした。
これからは、
「兄VS弟」
という、より個人的な対立になる可能性があります。
だからこそ、乃木とノコルの関係は非常に面白いのです。
ノコルは「敵」ではなく、乃木のもう一人の家族
乃木には、幼いころに生き別れた父親・ベキがいました。
そして、その父親のもとには、自分が知らなかったもう一人の息子がいました。
それがノコルです。
つまりノコルは、乃木がテントに潜入したことで初めて出会った「弟」。
しかもその弟は、自分よりも長い時間、ベキと暮らしていました。
乃木が知りたかった父親の過去を、最も近くで見てきた人物でもあります。
そう考えると、ノコルは単なる敵キャラクターではありません。
「ベキを知るための鍵」であり、「乃木にとってもう一つの家族」なのです。
まとめ|ノコルは乃木の敵か味方か?
ノコルは物語の序盤では、明確に乃木の敵でした。
しかし物語が進むにつれ、その関係は大きく変わっていきます。
ノコルが乃木を警戒した背景には、テントを守る使命だけではなく、ベキへの愛情や「父を奪われるかもしれない」という複雑な感情があったと考えられます。
それでも最後には乃木を「兄」として受け入れた。
ここから考えると、ノコルは今後も乃木の最大の敵になるというより、
「敵にも味方にもなり得る、最も複雑な兄弟」
として描かれる可能性が高いでしょう。
そしてベキがいなくなった今、ノコルに残された最大の使命は、テントそのものを守ることではありません。
ベキが命を懸けて守ろうとした人々と、その思想を受け継ぐこと。
もし乃木が日本を守り、ノコルがバルカを守るのだとすれば、2人は別々の場所にいながら、同じ父親の意志を受け継ぐ「兄弟」になるのかもしれません。
『VIVANT』の本当のテーマが「敵と味方」ではなく、「血のつながりを超えた家族」だとするなら、乃木とノコルの関係はその象徴とも言えるでしょう。


